このページでは鹿と神道のかかわりについて解説します。
古事記に出てくる鹿
8世紀初めに書かれた日本最古の歴史書「古事記」に鹿が登場します。
鹿の神、アメノカク(天迦久)がアマテラスの伝令として、アメノオハバリのところへ派遣される記述が古事記にあります。
この、アメノオハバリ(天之尾羽張)という日本神話の神様の息子がタケミカヅチ(建雷命)です。
タケミカヅチ(建御雷)は雷神、刀剣の神、軍神として信仰されており、鹿島神宮・春日大社をはじめとする全国の鹿島神社、春日神社がタケミカヅチを祀っています。
鹿島神宮と鹿
鹿島神宮は茨城県鹿嶋市にある、神武天皇元年(神話の時代)に創建されたとされる神社であり、全国に約600ある鹿島神社の総本社です。
祭神は前項で述べたタケミカヅチ(建御雷)を祀っています。
鹿島神宮では鹿が神の使い(神使)とされており、境内にある鹿園で30頭ほどの鹿が飼育されています。
また、西暦768年の奈良の春日大社創建の際には、茨城県の鹿島神宮から奈良県の春日大社まで、白い神鹿にタケミカヅチの分霊を乗せて1年かけて移動したと伝えられています。
その際には、白い神鹿のほかにも多くの鹿を引き連れて奈良まで行ったのだそうです。
下の絵が、春日大社に伝わる「鹿島立神影図」です。
春日大社と鹿
春日大社は西暦768年に創建された神社で、藤原氏の氏神であるタケミカヅチを祀るために建てられた神社です。
奈良県奈良市にあり、全国に約1000ある春日神社の総本社です。
前項でも述べた通り、春日大社の創建時には鹿島神宮よりタケミカヅチの分霊が勧請され、白い神鹿を始めとする多くの鹿が奈良へとやってきました。
春日大社も鹿島神宮と同様に鹿が神の使い(神使)とされています。
鹿島神宮からたくさんの鹿が来る前から、奈良には野生の鹿が生息していましたが、春日大社創建以降は鹿は「神鹿(しんろく)」と呼ばれて保護され、現代に至るまで鹿と人間が共生しています。
境内では自由に鹿が歩いているのはもちろんのこと、灯篭や手水舎のデザインに鹿が入っていたり、おみくじやお守りにも鹿が取り入れられています。