ディアーライン(鹿摂食線)って何?

奈良公園を歩いたことがありますか?きれいに生えそろった芝の広場のあちこちに鹿たちが散らばって草や芝を食べています。そして、遠くに目をやると、森が見えます。奈良公園のまわりの森は、遠くまで見渡せて開放的です。そんな奈良公園にまつわるディアーラインについてご紹介します。

 

ディアーラインとは?

 

ディアーライン

 
奈良公園のまわりの森が開放的なのはなぜでしょう?確かに森の木々越しに遠くまで見通せます。奈良公園では、木々の約2mより下の部分は枝や葉っぱが全然ないからです。奈良公園の鹿たちが、彼らの口が届く範囲の葉っぱや枝を食べてしまうからなんです。この2m前後の線をディアーライン、または鹿摂食線といいます。約2mというのは鹿が立ち上がって食べられる木や草の高さになります。このディアーラインは、奈良公園ではっきりと確認することができますが、自然に近い森や山でも観察することができます。

もし、奈良公園で木の2mより下に葉っぱがついていたり、草が生えていたりしたら、それは鹿にとって毒であったり、嫌いな木や草だったりします。

 

鹿の嫌いな植物

 
嫌そうにしている鹿

 
鹿は、奈良公園の芝に大きく依存しています。芝のほかにはススキやイネ科植物なども食べています。奈良公園で観光客からもらう鹿せんべいは、鹿にとってはおやつのようなものです。

鹿が食べない植物は、高い木では、ナンキンハゼ、イヌガシ、ナギなどです。
低木の馬酔木、クサギなどの他に、シダ類も食べません。

鹿が嫌いな植物について、詳しくは以下の記事もご参照ください。

 

 

 

奈良公園整備に関する鹿の経済効果

 
芝刈り機いらずの奈良公園

 
奈良公園の芝は、いつ行ってもすっきりキレイに手入れされていますね。これは、奈良県の職員や庭師の方がしているわけではなく、鹿がしてくれています。鹿はいつも芝を食べています。まるで芝刈り機で刈ったようにきれいです。そして、鹿たちの落とし物(糞)をコガネムシの一種が分解し肥料に変えています。これによって芝はさらに美しくなります。奈良公園全体が大きなエコサイクルになっているのです。もし、鹿がしていることと同じことを人手でするといくらぐらいかかるかと試算すると年間10億円だそうです。鹿の経済効果はすごいですね!

 


 

まとめ

今度奈良公園を歩かれるときには、ディアーラインを意識してみてくださいね。そして、働き者(?)の鹿さんたちにおやつの鹿せんべいをやっていただけるとうれしいです。