このページでは、日本国内に生息している鹿を紹介していきます。
島から島へと泳いで渡る鹿や、サルと一緒に行動する鹿など、あなたの知らないニホンジカの世界がここにあります。
日本国内に生息している野生の鹿はすべてニホンジカという種類です。
ニホンジカには様々な亜種がありますが、現在日本国内に分布するのは6種類です。
エゾシカ
エゾシカ(蝦夷鹿)は北海道全域に広く生息するニホンジカの亜種です。
明治時代初頭には、大雪や乱獲などにより絶滅寸前まで追い込まれたこともありましたが、2015年現在約47万頭が生息しています。
ニホンジカの亜種は北へ行くほど体が大きくなる傾向がありますが、エゾシカはニホンジカの亜種の中で一番大きい種類です。
体が大きいため、1日に食べる植物の量は4~5kgにものぼり、山に植物が少なくなる冬には人間の生息地に出没し、農作物を荒らしたり交通事故の原因になることもあります。
厳寒の地北海道に住むエゾシカの寿命はオスが6歳、メスが8歳ぐらいで、他のニホンジカと比べると短いです。
エゾシカの寿命が短い原因は寒さ以外にもヒグマの存在があります。
これといった天敵がいない本州のニホンジカと比べると、北海道にはヒグマが数多く生息しているため、エゾシカの寿命が短くなる傾向があります。
ホンシュウジカ
ホンシュウジカはその名の通り本州に生息しているニホンジカの亜種です。
有名な「奈良のシカ」もホンシュウジカです。
体はエゾシカよりも少し小さく、ニホンジカというとホンシュウジカの姿をイメージする方が多いと思います。
ホンシュウジカはエゾシカより寿命が長く10~15年、環境が良い奈良の鹿だと20年近く生きるケースもあります。
近年では天敵だったニホンオオカミの絶滅などにより数が急増し、狩猟などで減らしても減らしても追いつかない状況になり、農作物や林業へに深刻な被害が出ています。
キュウシュウジカ
キュウシュウジカは九州および四国に分布しているニホンジカの亜種です。
体格はホンシュウジカよりさらに小さくなります。
南に行けばいくほどニホンジカの体は小さくなりますが、これはベルクマンの法則といい、同じ種の動物であれば、北へ行けば行くほど体格が大型になるというものです。
これは、体温を一定に保つための熱の生産と関係があります。
九州や四国など温暖な地域では、体温を維持するために放熱をたくさん行わなければなりません。
このため、体重あたりの体表面積はが大きいほうが有利なので、鹿も小型化したのです。
ケラマジカ
ケラマジカは、沖縄県の慶良間諸島(けらましょとう)に分布しているニホンジカの亜種です。
慶良間諸島は大小20前後の島から構成されていますが、このうちケラマジカが生息しているのは
- 阿嘉島
- 外地島
- 慶留間島
- 屋嘉比島
- 座間味島
- 渡嘉敷島
などです。
ケラマジカは日本の鹿のなかで最も南に生息する鹿で、体重はニホンジカの中で一番小さく、ホンシュウジカが100kg程度あるのに対しケラマジカは30kg程度です。
ケラマジカの特徴は、泳いで「島渡り」をすることです。
海を泳ぐケラマジカの様子は下の動画からどうぞ。
主に繁殖期(9月~11月)に見られる光景で、繁殖のためにオスが別の島へ向かうのですが、中には途中で泳ぎ疲れてしまって漁船に助けられる鹿もいたそうです。
ケラマジカがデザインされた阿嘉島のマンホール
画像引用元:はるきの沖縄日記
ヤクシカ(ヤクジカ)
ヤクシカは、鹿児島県の屋久島と口永良部島のみに生息するニホンジカの亜種です。
ヤクシカもホンシュウジカと比べると小型で、ニホンジカの半分以下程度しか体重がありません。
また、ヤクシカは体の割に足が短いという身体的特徴を持っています。
屋久島には「ヒト2万、シカ2万、サル2万」という言葉があり、人口とヤクシカの数がほぼ同じであると言われています。
ヤクシカは山の中でサル(ヤクザル)と共に行動していることがあります。
これは、サルが木の上で植物を食べる際に地面に落ちてくる葉っぱや実などのおこぼれにあずかろうと、シカがサルに付いて行っているのです。
また、サルが鹿に対してマウンティングするような行動も見られ、大変興味深いです。
屋久島には希少植物が多数ありますが、鹿がこれらの希少植物を食べてしまうことがあり、食害が問題となっています。
マゲシカ
マゲシカは鹿児島県の馬毛島(まげしま)に生息しているニホンジカの亜種です。
ホンシュウジカより一回り小さく、毛は黒っぽいのが特徴です。
2000年に頭数調査が行われ、570頭と記録されたのを最後に頭数調査は行われていませんが、島で大規模な森林伐採や整地が行われたため個体数が減少し、2012年に絶滅の恐れがある個体群として環境省に指定されました。
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