鹿の「ぬた打ち」って聞いたことありますか?
鹿は「ぬた場」と呼ばれる場所で自ら泥まみれになって「ぬた打ち」をします。
いったい何のためでしょうか。
ぬた場とは
ぬた場は漢字で「沼田場」と書きます。
野生動物が泥浴びをするための場所で、暗くぬかるみ、水たまりが出来る場所がぬた場になりやすいです。
ぬた打ちとは
ぬた打ちとは、シカやイノシシなどの野生動物が身体に付いたダニやノミ、汚れなどを落とすために泥に身体をこすりつける行動のことをいいます。
上の動画にあるように、人間から見ると身体に泥をすりつけて汚くしているようにしか見えませんが、これは鹿にとってはお風呂で体をきれいにして身だしなみを整えているようなものなのです。
身体を泥でコーティングして、その泥が乾いて落ちる時にダニやノミが一緒にはがれるというわけです。
人間でいうところの「泥パック」みたいですね。
ちなみにぬた場で身体に付けた泥は、木などにこすりつけて落としますがこの行動は「ぬたずり」と呼ばれています。
繁殖期のオス鹿のぬた打ち
繁殖期(9~11月)の鹿のオスは、特に念入りにぬた打ちをします。
これは、泥に自分の尿のにおいを混ぜて体に擦り付けることにより、自分の体臭を強くして、他のオスやメスに対して自分の縄張りを主張するためです。
野生動物は体臭が強いほうがオスとしての魅力が高いですから、繁殖期には念入りにぬたうちをして「オシャレ」をします。
なお、ぬた打ちをしているオス鹿は興奮状態にあるため、見かけても近寄らずそっとしておきましょう。
「ぬた打つ」は「のたうちまわる」の語源
人間がもだえ苦しむ様子を表す「のたうち回る」という言葉があります。
これは、動物のぬた打ちの様子が語源になっています。
全身を泥に激しくこすりつける様子は、確かに人間がのたうち回っている様子と似ていますね。