このページでは日本で広くみられるニホンジカの生態について解説します。
鹿の分布
鹿(ニホンジカ)は日本全国の森林や草原に生息しています。
鹿が完全に森林から離れて住むことは滅多にありません。
これは鹿が草食動物であり、食料である草や葉っぱが常に近くにある必要があるためです。
日本全国の鹿の頭数は環境省の調査によると約305万頭と推定されています。
鹿の食性
鹿は木の葉や草など、1000種類以上もの植物を食べます。
主な食糧は広葉樹の葉っぱや、イネ科の草、ササ類の葉っぱ、ドングリなどの木の実です。
鹿の食べ物について、詳しくは下の関連記事もご参照ください。
鹿の繁殖
鹿は哺乳類であり、胎生で繁殖します。
交尾の時期は9~11月で、繁殖期になるとオスの群れの中で順位が決定します。
順位の高いオスは5歳以上のオスが多いです。
鹿は優位のオスが多くのメスを囲い込む一夫多妻制で、優位のオスが繁殖期に複数のメスと交尾するしているのに劣位のオスは一度も交尾できないことがあります。
鹿の妊娠期間は約230日で、出産期は5~7月。通常1頭のメスから1頭の小鹿が生まれます。
鹿の寿命はオスが4~6年、メスが6~8年程度です。ただし、奈良公園など特殊な環境にいる鹿はもう少し長生きすることもあります。
鹿の群れ
鹿はオスとメス別々に群れを作ります。
メスの群れは、母親を筆頭にその母鹿から生まれたメスの子供たちで形成されます。
オスの鹿は生後1~2年で生まれた群れから離れ、オスだけで群れを作ります。
また、群れは固定的なものではなく流動的で、森林の中では小規模な群れを形成し、開けた草原などでは合流して大規模な群れを作ります。
鹿の行動時間帯
鹿は本来薄明薄暮性であり、日の出前と日没直後の薄明るい時間帯に活動する動物です。
ところが、日本では鹿が夜間目撃されることがよくありますし、鹿と車の交通事故なども夜よく起こっており、鹿は夜行性のように思えます。
これは、鹿が人間の行動に合わせて行動時間を変えた結果なのです。
昼間は畑には人間がいますし、山の中ならハンターが鹿を撃ちに来ることもあります。
このため、鹿が生活パターンを変えて夜に行動するようになり、人気のない夜の畑に降りてきたりするようになったのです。
ちなみに鹿は昼でも夜でも眠ることができ、木陰などで休息がてら仮眠を取っては行動するのを繰り返しています。
あまり深く眠ってしまうと他の肉食獣の餌食になってしまうため、睡眠が浅いのです。
鹿の行動範囲
鹿の行動範囲はとても狭く、0.5~2平方キロメートルの範囲内で休息と食事を繰り返しています。
2~3時間食物を食べては、2~4時間休憩しながら反芻するのを繰り返します。