このページでは鹿が何を食べるのかについて解説します。
鹿は草食動物
鹿は草食動物です。
鹿は胃を4つ持ち、口で噛み砕いた食べ物を胃に送り、胃で消化した食べ物を再び口に戻して消化する、反芻動物です。
反芻することにより消化率を高め、少ない食べ物からでも多くの栄養を得ることができています。
鹿の食糧
鹿は草食動物であるため、木の葉っぱや草、木の実など1000種類以上の植物を食べます。
鹿の1日の食事量は3kgにものぼります。
春~夏
鹿の好物はなんといっても生えたばかりの柔らかい新芽や柔らかい葉っぱです。
春~夏の鹿たちは、樫(カシ)の木の葉っぱや芝生、笹の葉やシダなどの植物を食べて暮らしています。
秋~冬
冬は鹿の好む青々とした葉っぱや草が極端に少なくなります。
このため、鹿たちは冬でも葉が残っている針葉樹の葉を食べたり、植物の茎や根など葉っぱ以外の箇所を食べます。
また、木の皮を剥がして食べたり、落ちている枯葉やドングリも食べます。
奈良の鹿の食べ物
国の天然記念物として保護されている奈良の鹿は、他の地域の鹿とは少し食糧事情が違います。
鹿せんべい
まず有名なのが鹿せんべいですね。
奈良の鹿は観光客から鹿せんべいをもらって食べます。
鹿せんべいの原料は米ぬかと小麦粉で、100%植物性の原料で出来ています。
鹿寄せ(どんぐり)
鹿の餌となる草や木の葉が特に少なくなる冬場には、奈良の鹿愛護会による「鹿寄せ」が行われます。
写真にあるように、ホルンを吹くと餌のドングリが欲しい鹿たちが山からたくさん集まってきます。
集まってきた鹿がドングリを食べる姿は、冬の奈良の風物詩となっています。
なお、このドングリは秋に有志が奈良の鹿愛護会に寄付したもので、毎年多くのドングリが全国から奈良の鹿愛護会に寄せられています。
その他牧草など
奈良の鹿は2017年現在の調査で1,498頭。
ほとんどが野生の鹿ですが、中には病気や怪我で自力でエサを確保できなかったり、妊娠中の鹿や人間と共生できなかった鹿など様々な理由で奈良の鹿愛護会に保護されている鹿が300頭前後います。
この鹿たちのために、新関西国際空港(伊丹空港)に生えている牧草が毎年寄付されています。
鹿と食害
鹿は身体が大きく、必要とする食糧の量も多いです。
鹿は基本的に人間と距離を取った山中に暮らしていますが、山の食糧が足りなくなると山から下りてきて畑を荒らしてしまいます。
鹿の食害に遭いやすい農作物としては、稲、麦、大豆、トウモロコシ、シイタケなどがあります。
冬に鹿に荒らされたホウレンソウ畑
画像引用元:板荷の農作業
かつて鹿の天敵だったオオカミが絶滅したため、鹿が増えすぎてエサ不足となり、畑を荒らしに来ていると考えられています。
このため、鹿の頭数調整を目的とした捕獲が各地で行われています。