血液製剤を輸血された80代女性がE型肝炎に感染して死亡したことが報じられました。(2018年1月31日)
この血液製剤の原料となった血液を献血した提供者は、献血の2か月前に生の鹿肉を食べていたとのことです。
詳しく見ていきましょう。
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血液製剤を輸血された患者がE型肝炎に感染し死亡
NHKなどの報道によりますと、がんの治療のために血液製剤を輸血された80代の女性がE型肝炎に感染して死亡したそうです。
日本赤十字社の調査によると、この時使用した血液製剤と女性の体内の両方から遺伝子の配列が同一のE型肝炎ウイルスが検出されたとのことで、輸血が原因の感染とみられています。
感染源となった血液の提供者は生の鹿肉を食べていた
さて、この血液製剤の原料となった献血者は、献血の2か月前に生の鹿肉を食べていたということです。
E型肝炎は動物と人間共通に感染する病気であり、生の鹿肉からも人間に感染することは以前から知られていました。
生の鹿肉を食べてE型肝炎に感染したものの無症状のまま2か月過ごした人が献血をした結果、E型肝炎のウイルスが混入した血液製剤が出来上がってしまったのです。
鹿肉は必ず中まで火を通してから食べる
生の鹿肉にはE型肝炎ウイルスの他、住肉胞子虫という寄生虫が潜んでいる場合もあります。
どちらも食中毒を引き起こしますが、加熱により無害化することができます。
鹿肉などのジビエを食べる時は生で食べずに、肉の中心部までしっかり火を通してから食べるようにしましょう。
E型肝炎のウイルスは、63℃で30分以上の加熱をすることにより効力を失います。
血液製剤のトレーサビリティ
今回のニュースを受けて血液製剤のトレーサビリティの高さに驚きました。
死亡した女性に輸血された血液製剤がどこの誰から提供されたものなのか完全に追跡可能という点に、日本の献血・輸血システムの安全性の高さを感じました。
調べたところ、献血者の問診票は41年間にもわたって保管義務があるとのこと。
また、献血した血液の検体保管期間は11年間。
この保存された検体があったため、死亡した女性と献血者のウイルスの遺伝子型が一致しているということがすぐ判明したのですね。
今後の改善策
エゾシカの肉を食べる頻度が高い北海道においては、献血された血液にE型肝炎ウイルス(HEV)が入っていないかどうかの検査を今までも実施していましたが、北海道以外の地域では実施していませんでした。
今回の事案を受けて、E型肝炎ウイルスの混入検査範囲を全国に広げる予定とのことです。
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