フィンランドのトナカイの角 に反射塗料が塗られている理由は?

暗闇の中に光るトナカイの角の写真がメディアに流れた時、それを見た人は、「なんと神々しい」「神獣っぽい!」「召喚された幻獣のようだ」「まるでライフセーバーみたいで
かっこいい」と話題沸騰となりました。なぜ、トナカイの角が光っているのでしょうか?今回はその理由を明らかにします!

 

フィンランドのトナカイの角に反射塗料が塗られている理由


画像引用元:BBC NEWS

 
フィンランド北部のラップランド地方には、先住民が昔から遊牧してきたトナカイが20万頭近くいます。トナカイは、シカ科で唯一、雌雄を問わず角が生えています。そして、大きな蹄で雪の上も問題なく歩き回ります。そのうえ、夜行性なので暗くなってから活発に移動します。

そんなトナカイが毎年、3000~5000頭交通事故で車にはねられています。運転している人にとっても危険ですが、トナカイは遊牧されているわけですから、飼っている人たちにとっても大打撃です。

そこで、フィンランドのトナカイ放牧協会が、運転している人に目立つよう、トナカイの角に反射塗料を塗ることにしたのです。今までも反射テープなどをトナカイに取りつけてきましたが、トナカイが引きちぎるなどでうまくいきませんでした。

今回は、角には過酷な北極圏の気候にも耐えられる耐久性のある塗料、体の毛には雨水で流れ落ちる塗料の2種類を塗り、効果を確かめています。効果が確認できれば、地域全体のトナカイに塗る計画だそうです。

 

野生動物の交通事故

鹿との交通事故を防ぐ方法

「アメリカで最も危険な動物はシカかもしれない」って聞いたことありますか?アメリカの疫病対策センターの調査によると、シカによる犠牲者は、ワニとサメとクマを足した数より多いそうです。これは、シカに襲われたとか食べられたとかではなく、急に飛び出てきたシカとの交通事故で命を落とす人がたくさんいるということです。

たしかに、夜間、山間部で車を運転していてヒヤッとしたことがあります。動物が飛び出してくるような場所は街灯などもなく、気づくことが遅れることがあります。気づいたときにはどうしようもなく、大型の動物の場合、衝突したらかなりの衝撃で相当危険です。また、衝突を避けようとしてスリップするなどドライバーにとっては脅威です。

 

日本のシカはどうでしょう?

鹿飛び出し注意の看板

 

日本の野生動物も同じように交通事故の危険にさらされています。日本では、柵を作ったり、動物が嫌がる音を出したりして対策を行っていますが、完全に防ぐところまではいっていないのが実情です。

では、奈良公園のシカはどうでしょう?奈良の鹿愛護会のまとめによりますと、平成27年7月からの1年間で、鹿の奈良公園周辺の交通事故は131件、そのうち81頭が死亡しています。

標識などで注意を呼び掛けていますが、増加傾向にあります。奈良公園は元来、鹿の生息地ですから、ドライバーの皆さんの協力が必要です。
 


 

 

おわりに

 
トナカイの角が光るのは、トナカイを交通事故から守るためだったのです。どこの国でも事情は同じです。野生動物との交通事故は、野生動物だけでなく、人間も危険にさらします。いろいろ工夫して、減らしていきたいものです。

 
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