このページでは鹿による人間への被害について解説します。
増えすぎた鹿による影響
近年日本においては鹿の数は増加の一途を辿っています。
これは、鹿の天敵だったオオカミが日本では絶滅したことや、地球温暖化で鹿が越冬しやすくなったことなどが理由として挙げられます。
また、下の記事でも解説しているとおり、鹿の繁殖力はすさまじく、天敵がいない環境では鹿が増え放題となり、様々な被害を引き起こしてしまっています。
農作物への被害
シカによる農作物への被害は野生動物の中で一番多く、被害総額は60億円近くにものぼります。
鹿は体が大きいため1日に3kgもの植物を食べる必要があります。
このため、山に植物が足りなくなると人里へ下りてきて畑の作物を荒らしてしまうのです。
また、鹿の好物は生えたばかりの柔らかい葉っぱや新芽です。
つまり、田植えが終わったばかりの田んぼや新芽が出たばかりの野菜や果樹などは鹿の大好物なのです。
それ以外にも、鹿はありとあらゆる植物を食べつくします。
林業への被害
鹿は植物であれば葉、茎、実、根など何でも食べてしまいます。
木の樹皮も例外ではありません。
鹿は上の写真のように木の皮をはぎ取って、内側にある比較的柔らかい皮を食べます。
自然林でも人工林でも鹿による食害は起こっています。
鹿に樹皮を食べられた木がどうなるかというと、正常に成長する場合もありますが、中には食べ跡から菌が侵入し、木が病気になって立ち枯れしたり倒木してしまうこともあります。
また、人工的に植林した場合、植えたばかりの苗木は柔らかくて鹿の大好物です。
せっかく苗木を植えたのに全部鹿に食べられてしまって林が育たなかった、という事例も全国に数多くあります。
下の写真は、ヒノキの苗を植えたにも関わらず鹿に食べられてしまって林にならなかった土地の様子です。
希少植物への影響
鹿の増殖は標高の低い地域にとどまらず、より豊富な食料を求めて標高3,000mを超える山々にまで及んでいます。
上の写真は南アルプスの1979年と2008年の写真です。
30年前には高山植物が生えていた場所にほとんど植物が無く、土がむき出しになっています。
これは鹿による高山植物の食害です。
南アルプス以外にも、貴重な植物の宝庫である尾瀬や屋久島、知床などの植物もシカの食害に晒されています。
鹿から見ると、その植物が希少種かどうかなんて分かりませんし、すべて美味しそうな食料に見えてしまうのでしょうね。
鹿被害への対策
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農作物や林業への被害を防ぐために鹿を追い払ったり駆除する工夫もされています。
農作物を鹿から守るための手段としては
- 柵・電気柵
- 光や音による威嚇
- 罠による捕獲
があります。
そのほかにも、狩猟免許を持つハンターによる猟銃を使った鹿の捕獲も各都道府県で進めています。
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