鹿は世界各地で神の象徴や財運の象徴、勝利の象徴などとして捉えられています。
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日本:神の使いとしての鹿
日本では8世紀に書かれた「古事記」に鹿の神「アメノカク(天迦久)」が登場したり、神の使いとして鹿が使われたりするなど、古くから鹿に対する神格化が見られました。
また、鹿島神宮や春日大社では鹿が神の使いとして丁重に保護されています。
神道と鹿についての詳細は、下の記事をご参照ください。
日本:勝利の象徴としての鹿
戦国時代、鹿の角を勝利の象徴として鎧兜に付けた武将が多くいました。
- 真田幸村
- 本田忠勝
- 長宗我部信親
- 山中幸盛(山中鹿之助)
- 酒井忠勝
鹿の角は勇壮に見えるため、戦国武将の強さをアピールするために有効に使われていたようです。
現代においてもこの力強さにあやかり、鹿は勝負運が上がる縁起物となっています。
中国:財運の象徴としての鹿
中国でも古くから鹿が神的なものとして捉えられてきました。
満州民族や、中国北方の狩猟民族に鹿神に関する伝説や信仰があったことが分かっています。
また、中国の歴史書の中には白鹿に関する記述も多く、白鹿が平和の象徴、幸運の象徴として捉えられていたことがうかがえます。
現代中国においても、中国語の「鹿」と「給料」が同じ「ルー」という発音であるために、鹿は財運の象徴として縁起がいいものとされています。
ヨーロッパ:魔除けの象徴としての鹿
古代ヨーロッパにおいては、鹿やトナカイは神の姿だと考えられ、狩猟の対象ではあるものの、大切にされていました。
ところが、そこにキリスト教が勢力を拡大してくると、情勢が変わります。
キリスト教では神は一つしか認められていないため、鹿の姿をした神がいることはキリスト教にとっては不都合です。
このため、キリスト教の布教者は「鹿は悪魔の象徴である」ということにして、布教を進めました。
現代のヨーロッパにおいては、鹿の角が家を守るお守りや魔除け的な意味で飾られていたりしますので、キリスト教による「鹿=悪魔の象徴」という刷り込みはすでに過去のものになっているようです。
復活の象徴としての鹿(ケルト民族)
ケルヌンノスは「角あるもの」とか「先のとがったもの」という意味。「ケルヌンノスはケルト世界において、ローマ=ケルト時代とその前の時代に現れた、枝角を生やした神のほかの多くのイメージを確定するのに役立つ」(ケルト神話・伝説事典)。
グネストルップの大釜の浮彫(前4?3世紀)。 pic.twitter.com/5ym2HULy1R— TOMITA_Akio (@Prokoptas) 2017年3月27日
ケルト民族(アイルランドなど)の神話には、「ケルヌンノス」という角が生えた神が登場します。
ケルヌンノスは絵画等に描かれる際、ほぼ常にオス鹿を従えた姿で登場します。
ケルヌンノスは、狩猟の神、百獣の神などと呼ばれ、多産や豊作、復活の象徴としてケルト民族に信仰されていたと考えられています。
夢占いで鹿が象徴するもの
ここまでの話とは少しベクトルが変わりますが、鹿が夢に出てきた場合、その夢は何を象徴しているのでしょうか。
夢占いにおいても鹿は基本的に吉祥や幸運など良いものの象徴とされます。
- 鹿が出てくる夢=吉兆、開運を暗示
- 鹿=草食動物=繊細な人の象徴
- ツノがあるオス鹿=エネルギッシュな人の象徴
縁起物としての鹿
このように、世界的に見ても鹿は神の使いや縁起物など、良い象徴として捉えられてきました。
唯一の例外として、キリスト教布教のために鹿を悪魔のイメージに塗り替えようとした恣意的な印象操作がありますが、そういった例外を除けば人間は基本的に鹿に対して神聖なイメージを抱くようです。
確かに、草原にたたずむ鹿の姿や森から出てくる鹿の姿は神々しいと感じる瞬間が多々あります。
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